クロキメモ

観たもの読んだもの

観た映画03- マッドマックス4

3回観た。3回観に行きましたマッドマックス
そして1〜3も、意味無いと分かっていながら観直さずにはいられませんでした。
あくまで個人的な話ですが4>2>1>3です。好きさの話ね。

映像には映像にしか出来無いことがある。
というのがぼくら映像に少しでも片足を突っ込んだ人間が信ずる所なんですが、まさに。いやこれ他のメディアで出来ないでしょ。触覚に同程度のアドレナリン分泌を促すためにショックを与えたら人間死ぬでしょ。

正直に告白すると、一回目を観に行ったときは仕事やらなんやらで疲労はピーク。立っているのもままならないという状態で、深夜の2時からというアホみたいな上映に行った結果、席に着くなり寝てしまいました。で、開始8分くらいで爆音にて起きて、そっから目は開きっぱなし。もうこれサイコーかよ!とギンギンになりながら観ました。

大満足の末に出てきて思ったのが
「なんの支障もなく観れた気がするけど、本当かな?冒頭でとても大切なことが分かっていたりしてボクだけ知らずに最後まで観てないかな?」と。特に、ハリウッド映画では最初の10分はプラント期、要は伏線を植える絶好のタイミングなわけです。マッドマックス、ハリウッド映画じゃないけど。

で、再度観に行って。
「やっぱり全然関係ないー!けどサイコー!」と帰ってきて。

昨日そろそろ落ち着いて観てみるか、と3度目。
「何回観てもサイコー!」と帰ってきたわけです。落ち着くとは一体。

馬鹿みたいに凝ったコスチュームと車。
アホみたいに大きな音(最初に一緒に行った友人は音楽を作っている人なので「耳が壊れるかと思った」と言っていた)。

アドレナリンを溜めたままにすると精神衛生上良く無いという話があって。
要は軍役している人や警官が任務にあたると極度の緊張からアドレナリンが過剰分泌され、それを発散しないまま飲み屋でくだを巻いてしまうから揺り戻しが酷くて自死に至るなんて良く言われています。もっと短かな例だとお笑い芸人がウケて強烈な成功体験を受ければ受けるほどに毀れていくとか。

なんでまあ妻帯者ならセックスを、そうで無い人間ならばサンドバックをぶん殴ってから寝ろってのは確か押井守先生の言葉でしたっけ。アドレナリンの解放は大事なんです。

今なら、マッドマックスを観に行けを加えれると思う。
日本でどうだか分からないので、アメリカで。作品そのものでいうと間違いなく3Dが良いんだけど敢えての2Dで。きったねえ映画館で。何故なら誰しも叫べるから。英語、多分わかんなくても1ミリも問題ないから。オススメです。

映像屋としてちゃんと観なくてはいけないんですが、どうにも劇場に足を運んでしまうと無理なのでDVDが出次第、もう一度書きます。特別好きだったショットは意外にもカーチェイスシーンでは無くて号泣するフュリオサ。なにあれ超力強い。構図の話じゃ無くて演者のマンパワーで持って行かれるのは悔しい様な気もしますがそれが映画。

補足としてひとつ。一緒に観に行った人たちほぼ全員から「あのフラッシュバックで出てくる女の子は誰なの?前の作品に出てたの?」と聞かれましたがあの子は多分コミックスに出てくる女の子で、お前らはそんな小さな事は考えずに観るべきです。マッドマックスの感想にストーリーを持ち込むなよ(失礼)。

読んだ本05-タモリ学

 

タモリ学 タモリにとって「タモリ」とは何か?

タモリ学 タモリにとって「タモリ」とは何か?

 

 僕はテレビをほとんど見ない。そもそも僕が小さい頃は実家のリビングでテレビがついているという状況が殆どなくて、習慣としてテレビ鑑賞を会得していないのだ。唯一小学3・4年生のときにポケモンのアニメだけは「これはマズイぞ」と思い見させてもらう事になったけれど、以降、ドラマの話題など1ミリも参加せずに生きてきた。(思えばテレビを含めた映像の仕事を今やっているのは、相当に不思議な生き方をしている)。

そんな僕でも知っているタレント、タモリ

氏に対するイメージは友人たちの語る「ミュージックステーション」「タモリ倶楽部」「笑っていいとも」の話から掴んでいると思っていた。飄々と人の話を聞くのが上手くて、好きな事についてはやけに詳しい好々爺的な男。恐らくそこまでタモリに心酔していない限り、僕と同世代の人の大多数が持つイメージはこんな所だと思う。テレビを見ていない僕は自分の感情と共にタモリと接しておらず、漠然とした「大衆」が抱くイメージを収集しただけで、だからこそタモリという男を俯瞰で見れていると自負していた。

ところがこの本を読むと、そのイメージは崩壊した。いや、正確には上であげたタモリ像は合っていた。けれどその奥行き、そこに至る過程や思考が全然違った。このオッさんハチャメチャじゃねーか。本文を引用すると

「俺の本当の芸は、なりすましってやつだよ」 

これに尽きる。国民の全てが知っている(少なくとも僕ですら知っている)立場で本質を隠すというのは、これは確かに芸としか言いようが無い。少し、タモリをテレビで見てみたいと思った。

読んだ本03/04-我が逃走/日本一「ふざけた」会社の ギリギリセーフな仕事術

 

我が逃走

我が逃走

 

 

 

 はるか昔の様に感じるけれど実は割と最近、テキストサイトが流行っていた。僕がネットに触れ出した頃には既にダイアルアップだの何だのという地獄の様な縛りは無くなっていたけれど、まだギリギリでテキストサイトも最後の灯火といった風体で、読み漁りました。

ゴブリンと僕、桃色核実験。いやはや上げると膨大な量になるので適当に切り上げるけど、特にその活動に参加するではなく傍観者としてテキストサイトの(今思うだに)衰退を見続けていたら、一方的に知っている人たちがオモコロというポータルサイトを立ち上げて、そこにこれまた一方的に知っている人たちが加わっていく。そして現在。ちなみに家入さんも新進気鋭の若手起業家という触れ込みの前にオモコロ派生で知っていた気がする。

なのでこの2冊の著者はどちらも「ネットでおもしろい事やってる人達」というカテゴリで(そして今でもそれは名実ともにそうなんだけど)、ビジネス書だったりこういった若干意識高い人が読みそうな本を書けるイメージじゃ無かった。でもなんだか二冊ともちゃんとしてました。我が逃走に関してはちょっといい話ですらある。

日本一「ふざけた」会社のギリギリセーフな仕事術にあったワードを使うと、あの頃の、テキストサイト最盛期に名が挙がって、僕が見る様になった衰退期までその名前が残っていた人達というのは、「人生設計バカ」という面白さが絶対的に今よりある。

なんだかね。マネタイズ。大事です。ええそりゃ大事です。ただ、承認欲求を満たすためだけに日々コンテンツを考えていた、賢い人達から言わせると「それなんの意味があるの?」って環境下で面白を考えていた人達はその分どこかネジが飛んでいて。好みの話としてですが、僕は今のインターネッツより好きです。

なんだろうね、コンテンツを公開することが簡単になりすぎたとかもあるんでしょうかね。「(賢い人達からすると)無駄な時間をかけれますか?」というフィルタが薄くなったというか。まあ、ブログでメモ書いてる人間が言うなっつー話か。

観た映画02-胸騒ぎの恋人

 

胸騒ぎの恋人 [DVD]

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 一つ前のメモでも話題にあげたグサヴィエ・ドラン。

僕の視聴遍歴はマイ・マザー、わたしはロランス、トムアットザファーム、そして今作ということを先に言っておいた方が良いと思う。姉から「カナダにヤバい監督が居る」と言われ見始めたので事前知識が多少なりあったということも。

つまり、僕の中でグサヴィエ・ドランは作品以前にゲイだった。そしてその情報は「マイ・マザー」と「わたしはロランス」で実となった。こういうと、まるで事前情報ありきの偏った目で観たからの様に思われるけれど、多分、恐らく、なんの知識もなく観ても勘付いていたと思う。カルフォルニアはヒルクレスト、ニューヨークはヘルズキッチンと、何故だかゲイに恵まれた地に住む機会が多い僕は人より気付きの感覚が研ぎ澄まされているのだ(ゲイにやたらとモテます)。

そんな話はともかく。彩度の高いルックだったり頻繁に出てくる詩の引用、あとはもちろんセクシャルマイノリティとしてのテーマは「ゲイだからなー。」でなんとか納得出来る。もちろん世のゲイの方々に失礼だし、そんな簡単に片付けられる話では無い。特に、アンタ仮にも映像に携わってるんだろうがと言われてしまうと「ゲイだから」は「彼は天才だから」と同じく負けを認めてしまう、悔しいことだ。でも、取り敢えずそういった不敬で怠惰な感じで飲み込んだのが最初。

そんな第一印象はトムアットザファームで覆された。もちろん上で挙げた3点はそのままだけど、なんと言っても怖いの。うっわ鬼気迫る絵作りが出来る様になっていやがる!と、またしても悔しい思いを。その時は飲み込めすらしなかった。

そんなこんなで見て、また負けを認めるのが恐ろしくて、iTunesでレンタルしてから残りレンタル期間があと1日まで引き摺って観たのが今作。

結果から言うと、今までで一番好きだった。ストーリーは簡単に言うと、ゲイの男の子(フランシス)とストレートの女の子(マリー)が共通のイケメン(ニコラ)に恋をした際の、出会いから別れまでのそれぞれのジェンダー差を描いた話。いやゲイって中身は女の子なんじゃないの?って話なんですが、そら当然の様に違うんだと思う。その辺りの機微と違いが面白い。そしてクライマックス後のフランシス(グサヴィエドラン)のヒスを起こすシーンが最高。今まで見た3作は基本的にテーマから必然的に重い。ただ今作は、その重さを最後の最後で笑いに変えれているのがとても良かった。爆笑して、3回くらい見直した。あれは絶対に、絶対に男でも女でも出来ない演技だ。

ただ、賞賛出来たという意味では鬼気迫る感じだったり、少なくとも今の僕では到達出来ない何かは薄め。マイ・マザーとわたしはロランスの間で撮られた作品ですよ、と言われると「なるほどねー」となる。それはもちろんグサヴィエ・ドランの成長性のヤバさの表れでもあるんだけど。なんだか安心しました。あんた人の子やったんやね、と。

 

好きだった点:

ラストシーンのマリーとフランシス

節々に出てくるモンタージュの絶妙に誰でも分かる感じ

ニコラに誘われた二人がおめかしをして待ち合わせ場所まで行く時の音楽(西部風)

ヒスって帰ろうとするマリーを引きとめようとするフランシスとニコラの3shot

 

読んだ本02-受け入れない

 

受け入れない

受け入れない

 

 園子温監督は、熱/勢い/迫力を持たせるのに本当に長けた人だと思う。映像に関しては言うまでも無い(ちなみに自他共に認めている様で、本書でもキレイな実景を撮るとかは諦めて迫力を求めていると言っている)けれど、文章でも、だ。

結果として岡本太郎の著書と読後感が似ている。まあ要は、言いたいことを熱量に任せてぶちまけている。熱量があるから許されるタイプの一冊。

こう書くとあたかも内容が無く、読む価値も同様と受け取られそうだけれど、熱量を含ませることに成功しているというのは、それだけでとんでも無いことで、読む価値は大変にある。

例えば、言いたいことをぶちまけた文章なんてのはインターネット上にいくらでも転がっている。このメモだってその一つだ。ただそこに熱量を感じる文章がどれだけありますか、という話だ。少なくとも僕は、ライターという職業の方々には申し訳ないけれど、記憶する限り一度も出会ったことが無い。

映像での熱量だと、ここ最近カナダのグサヴィエ・ドランの撮る映像が個人的には一番鬼気迫るものがある。

 

トム・アット・ザ・ファーム [DVD]

トム・アット・ザ・ファーム [DVD]

 

トムアットザファーム。戯曲を元にした、言ってしまえば何の面白みも無いストーリーをひたすらに得体の知れ無い熱量を持ったカットで繋いでいる映画だと思う(ファンの方すいません)。悪態に聞こえるだろうけど、めちゃくちゃ良い映画なんです。超怖いんです。

 

この勢い/熱量と言われるものをどう獲得するのか、その方法についても少し書いてある本だった。多分、言われてやっても何の効果も無いんですが。はい。

読んだ本01-笠辺哲 短編マンガ集 バニーズ ほか

 

笠辺哲 短編マンガ集 バニーズ ほか  IKKI COMIX

笠辺哲 短編マンガ集 バニーズ ほか IKKI COMIX

 

 面白いというのは極限まで要素を簡単にしていくと、多分「面白い(ツマラナイ)」軸をX軸,「明るい(暗い)」軸をY軸として出来た図の上にある(0,0)を中心とした半径1の円で説明が出来る。極限まで簡単にしているので、面白さにもいろいろ種類が〜みたいな例のやつは勘弁して貰いたい。

そして時々、面白いことだけは分かるんだけど、果たして存在する点がどこなのかは分からない作品(大体の場合は作者、と言っても良いのだけれど笠辺哲さんの他の作品を読んでいないのでここでは作品)がある。直感的には円周上を何周もした結果、存在するとも思っていなかったZ軸の方向に消えたと感じるんだけれど、じゃあその点は一体?Z軸の指標は?と問われると、説明が難しい。少なくとも立体が2次元上を通った場合平面として認識出来るように、面白くて、多分この話は明るい、だとか、あるんですけど、違和感がすごい。同じ座標にある他のものと何かが違う。

そんな感じだった。何周もしている。としか言いようが無い。そしてそれを書いた人が新人だという事実に開いた口が塞がらない。

(英)"The best fish smell when they are three days old!"
->(日)このパラパラアニメは君が描いたものかね?

...やはり何周もしている。しかし面白い。

観た映画01-クワイエットルームへようこそ

 

「鬱陶しいよね。てっちゃんは面白い国の人だから。仏壇も冗談に出来る人だから。私なんか、鬱陶しいよね。」

 このセリフを聞くためだけに何十回と見ている松尾スズキ監督の作品。松尾スズキと言えば演劇はもちろん、ドラマに映画と大活躍な大人計画主宰なわけで、誰がどう見ようと面白い国の人だ。

 でもこの「面白い国の人」という単語は、自分のことを面白いと思っている人から出てくるものでは無い気がしている。つまり、かの松尾スズキですら自己評価は面白く無いなんじゃないか(と、勝手に思わしてもらっている)。

人と話をしていて、「ああ面白くないなあ」と思うことが、ときたまある。

これは裏を返せば「自分は面白いのになあ」と不遜にも思っているわけで、何様なんだよ、と。そもそも自己評価で肯定的な見方をするのは百害あって一利無し。勿論、見せ方として自信があるというのは大事かもしれないけれど、内側として無駄にプライドを肥大させても良いことはないでしょう。そういう時に見ることにしている。人生であと何回見ることになるか分からないけど、極力見なくても良い様にしたい。

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<好きだった点>

・最初のスキンヘッドの男が風船を膨らますカット

・明日香の感情がピークに達した時に起こるスローモーションと無音

・モノローグの時に敢えて入れている動きの無い第一人称視点