読んだ本02-受け入れない
園子温監督は、熱/勢い/迫力を持たせるのに本当に長けた人だと思う。映像に関しては言うまでも無い(ちなみに自他共に認めている様で、本書でもキレイな実景を撮るとかは諦めて迫力を求めていると言っている)けれど、文章でも、だ。
結果として岡本太郎の著書と読後感が似ている。まあ要は、言いたいことを熱量に任せてぶちまけている。熱量があるから許されるタイプの一冊。
こう書くとあたかも内容が無く、読む価値も同様と受け取られそうだけれど、熱量を含ませることに成功しているというのは、それだけでとんでも無いことで、読む価値は大変にある。
例えば、言いたいことをぶちまけた文章なんてのはインターネット上にいくらでも転がっている。このメモだってその一つだ。ただそこに熱量を感じる文章がどれだけありますか、という話だ。少なくとも僕は、ライターという職業の方々には申し訳ないけれど、記憶する限り一度も出会ったことが無い。
映像での熱量だと、ここ最近カナダのグサヴィエ・ドランの撮る映像が個人的には一番鬼気迫るものがある。
トムアットザファーム。戯曲を元にした、言ってしまえば何の面白みも無いストーリーをひたすらに得体の知れ無い熱量を持ったカットで繋いでいる映画だと思う(ファンの方すいません)。悪態に聞こえるだろうけど、めちゃくちゃ良い映画なんです。超怖いんです。
この勢い/熱量と言われるものをどう獲得するのか、その方法についても少し書いてある本だった。多分、言われてやっても何の効果も無いんですが。はい。