クロキメモ

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読んだ本09 - 負ける技術

 

負ける技術 (講談社文庫)

負ける技術 (講談社文庫)

 

 モーニング(ツーでも)で「クレムリン」を、最近だと「ニコニコはんしょくアクマ」だったり「やわらかい。課長 起田総司」を連載しているカレー沢薫さんのコラム集。以前我が家の本棚からゆるカワな猫(関羽)の絵に惑わされてクレムリンを取る人々を眺めていたのだが、面白いくらいに二極化した反応を見せていた。すなわち、鼻で笑うリア充と、苦笑いをする非リア充だ。ちなみにその後、手に取った友人達の家を訪れて「あ、クレムリン買うようになったんだ。」と言ったのは漏れなく後者。

そんな感じの作風なんだけど、ここでキモとなるのは「リア充にもギリギリで笑わせるライン」という点だったと思う。なんだろう、例えば、かつ勝手な意見なんだけどさ。「げんしけん」読んで感情移入するリア充いないでしょ?斑目が春日部に何も伝えられないのを違う次元から見ながら、胸が痛んで、歯ぎしりしながらページ捲らないでしょ彼ら。そういう意味ではリア充でも一応は楽しめるのが凄いなあと思ってた。勿論そりゃラブコメ(?)やドラマとギャグ漫画を同じ軸で語るんじゃねーよって言われると返す言葉も無いんだが。

まあ要はバランス感覚が備わってるのか何なのか知らんが、作品の一属性としてはあるなあと思っていたのよ。ところがどっこい。このコラムは完全にその一線を越えてきた、と思う。もちろん非リア充側に。なので個人的には非常に楽しめたんだけれど、これどうなんだろう。相も変わらず日本書籍が手に入らない所で暮らしているのでKindle版で読んだわけだけど、帰国したら紙の本で買い直してリア充な友人達に読ませてみたい。その為ならもう一冊分金を出すまである。

 

はるか昔、テキストサイトというものが流行って。その頃、本流がどうだったかは知りもしないが、少なくとも僕のみて回っていたサイトの内容は日々の愚痴であり、変わった性癖であり、やたらと根暗な趣味の話題が連綿と続いていたと記憶している。まさにあれ。あれですわ。ちょっと違う事があるとすると、もちろん編集さんが存在してるし出版されてるわけで、作者も特定されているので度が越えたことは流石に書けていないくらいだと思う。それでも編集殺すとは散々書かれてるけれど。

 

もしも同じ様な暗黒の青春を過ごされた方がいれば、諸手を上げてオススメする。
毎日海沿いでBBQをしていた方には読んだ感想を是非聞きたい。
同じ様な体験はしたが、当時自分は30越えていたという方は、もう僕は知らない。